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東野圭吾 『麒麟の翼』と日本橋七福神巡り

2011-05-08 23:22:01 | Spot
東野圭吾の推理小説『麒麟の翼』を読んだ。
『赤い指』や『新参者』と同じく加賀恭一郎シリーズの新作である。
推理小説と言ってもサスペンスもののようにアリバイや密室殺人のトリックの謎解きをするような内容ではない。
ある殺人事件にまつわる人間関係を描写していき、そこでの家族愛などを浮き彫りにしていくような小説だ。
クライマックスでは思わず泣けてしまうなかなか良い作品だった。

この小説を読んで、あらためて日本橋という場所に興味が沸いてきた。
仕事で近辺を歩いたことはあるが、観光スポットとして探索したことはまだない。
まず日本橋に翼のある麒麟の像があるなんて、まったく気付いていなかった。
そしてその知らなかった像がこの小説のタイトルであり、象徴的なものとして取り上げられていた。
またこの小説内には日本橋七福神めぐりが事件の全容を解明する上でのキーとして登場する。
七福神めぐりっていうのも、おもしろそうだなと思い、小説の舞台となった日本橋をぶらり旅でもしてみようと考えた。
せっかくなので、小説で登場する事件の現場や日本橋のお店にも寄ってみることにした。
なお、小説に登場するお店はだいたい実在していてモデルとなる店があるが、違う店名で登場したり、店名すらでてこないものも多い。
そこは事前にググってだいたいあたりをつけて出かけた。
なお、訪問したポイントを地図上にマーキングしたので、下記のURLの地図もご参照下さい。


『麒麟の翼』の舞台となる日本橋マップ

冒頭の写真が日本橋の中央にある麒麟像だ。
キリンビールのラベルにもある、この伝説上の生き物には通常翼はないが、日本橋の像にはなぜか翼がある。
このあたりの理由については小説内で触れられている。
物語はここから始まったのだ。


事件現場




江戸橋南の首都高入口左脇にある地下道で被害者、青柳武明は刺される。
この地下道、昭和通りをくぐっているわけではなく、江戸橋の同じ車線側の歩道につながっているため非常に短い。
ここから野村證券本社を右手に被害者は移動し、交番前を通り日本橋の麒麟像まで移動して命が途絶えた。

さて、小説の冒頭部分の事件現場を見た後、人形町に移動。
まずは甘酒横丁近辺を散策し、小説に出てきた店を訪問しよう。


日本橋ゆうま



『新参者』、『麒麟の翼』では「ほおづき屋」という店名で登場。
『麒麟の翼』では被害者 青柳武明が所持していた眼鏡ケースを購入したとされる手作り工芸品の店。
ついつい欲しくなるような工芸品が所狭しと並んでいた。
カミさんがお土産にかわいい獅子頭の置物をペアで購入した。




浜町緑道



容疑者、八島冬樹が発見された場所。
車線と車線の間にある大きな安全地帯が公園のようなスペースになっている。
その名の通り、緑に囲まれている。
夜ともなると人気もないような寂しい場所と思われる。


浜町緑道にある弁慶像



以外と小さいと言われていた弁慶像。
緑道の中央あたりにあり、甘酒横丁とクロスするあたりにある。


草加屋



『新参者』で「あまから」という煎餅屋のモデルとなった店。
『麒麟の翼』でも加賀恭一郎がうまい煎餅と紹介している。
お店の売り場の横ではおじさんが煎餅を焼いていた。
お昼前に訪問したが、すでに名物ぬれ煎餅、ぬれおかきは無かったが、手焼き煎餅は買うことが出来た。
値段はちょっと高めで、五枚で五百円。
堅過ぎず、しょっぱ過ぎずの上品なお味でした。


芳味亭



人形町の洋食屋御三家のひとつ。
『麒麟の翼』では加賀、松宮、金森が加賀の父、隆正の三回忌の打ち合わせをここでしている。
一昔前の民家のような二階建ての店で、ビーフシチュー、コロッケがオススメと紹介されていた。
自分達もランチをここで取り、案内されたのは畳敷きの二階の部屋だった。
コロッケもハンバーグもチキンライスもとてもおいしかったけど、値段もちょっと高め。
ただし、満足度はかなり高い。
親子丼で有名な「玉ひで」は次回に取っておこう!

ちなみに他の洋食屋御三家は「小春軒」と「キラク」。
「キラク」の前を通ったが、店頭に「とんねるずのみなさんのおかげでした」のきたな美味い店☆二つの認定証が貼ってあった。
こちらもそのうち立ち寄りたい!


さて、ここからはいよいよ日本橋 七福神めぐりだ。
他の七福神めぐりと違って、日本橋はすべてが神社となっており、巡拝が短時間で出来る手軽さが特徴とのこと。
七福神めぐりといいつつも、実はめぐる神社は8つある。
理由は不明だが、なぜか恵比寿神を祀る神社が2つあるのだ。
まあ、細かいことは気にせず、まずは水天宮からスタートすることにしました。


水天宮 - 弁財天



訪問時にちょうど雅楽の演奏と舞が披露されていたので、しばし見学した。
水天宮は安産・子授け・芸能祈願・水難除けなどのご利益で知られている。
七福神めぐりでは一番大きい神社です。


松島神社(大鳥神社) - 大国神



ちょうちんに大鳥神社と書いてあったので、通り過ぎそうになってしまった。
その名の通り、11月には酉の市でにぎわうらしい。
五穀豊穣・開運招福のご利益があるとのこと。
新大橋通りから路地に入ったところにあります。


末廣神社 - 毘沙門天



もともとはこの地にあった遊郭、葭原(吉原)の氏神で、勝運を授け、災難をよける神様として、信仰されている。


笠間稲荷神社 - 寿老神



日本三大稲荷のひとつ笠間稲荷神社の東京別所。
長寿、お導き、幸運の神様が祀られている。
『麒麟の翼』では被害者、青柳武明の参拝が目撃された神社として紹介されている。


椙森神社 - 恵比寿神



ここと寶田恵比寿神社は他の神社とは少し離れた場所に位置する。
商売、福富の神が祀られている。
江戸時代の富興行を記念した富塚がある。


寶田恵比寿神社 - 恵比寿神



元々は皇居前にあった宝田村の鎮守様。
運慶あるいは左甚五郎の作とも伝えられる祭壇中央の見事な「恵比寿神」像が安置されている。
繁栄、平穏守護の神様のご利益があるという。


小津和紙



被害者、青柳武明が折り紙、「和紙十色」を購入したとされる和紙の専門店。
1階が店舗で、2階がギャラリーとなっている。
訪問した際は1階で子供達が手漉き和紙体験をしていた。


小網神社 - 福禄寿・弁財天



福徳金運長寿の神・福禄寿神と金運学芸の神・弁財天が祀られていて、東京銭洗い弁天でも有名。
おみくじは繭玉に入っており、狭い神社内の木には繭玉がたくさんぶら下がっていた。


茶ノ木神社 - 布袋尊



福徳円満の神、布袋尊が祀られている。
神社の周囲に巡らされた茶の木の緑が見事だったことから、この名前がついたといわれている。


喫茶去 快生軒



加賀と松宮が聞き込みの後、待ち合わせに使った老舗の喫茶店。
大正八年創業で、煉瓦と木枠の窓が印象的と紹介されていた。
日本橋七福神めぐりを終えて、ここで一休みしたかったのだが、残念ながらシャッターが下りていた。
日曜、祝日はお休みでした!


日本橋のぶらり旅の最後に、水天宮前交差点にある重盛永信堂でお土産の人形焼を購入。
あん無しカステラの人形焼もあったが、スタンダードのこしあんをチョイスした。
こちらは結構甘いあんの人形焼でした。
ちなみにこの店は特に小説には登場してません。

さて、今回『麒麟の翼』に登場する日本橋というテーマに基づいて人形町散策を行ったが、なかなか楽しかった。
読むだけの小説を実際に体験した気分になれた。
日本橋はまだ見所があるので、再び遊びに行きたいと思う。
今度は『新参者』に出てくるお店を中心にぶらり旅でもしようかな?

ところでTVドラマ化された『新参者』を見ていたため、どうしても刑事・加賀恭一郎が阿部寛とシンクロしてしまい、頭の中では阿部ちゃんしか思い浮かばなかった(^_^;)。
たぶんそれって自分だけじゃないんじゃないか?
まあ、非常にハマリ役でしたからね・・・。



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43 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (水天宮のわんこ)
2011-05-29 17:46:22
はじめまして。
水天宮界隈に住む者です。
「麒麟の翼」映画化ですね。
こちらのブログを見てこの舞台の日本橋や人形町を紹介していたのでグットタイミング!と訪問させていただきました。昨年に引き続きまた人形町が賑わうこと間違いなしのようですね。
映画化ですか! (おやぢタイプ)
2011-05-29 18:25:52
水天宮のわんこさん、コメントありがとうございます。
映画化されるんですね。『麒麟の翼』!!
非常に楽しみです。
混まないうちに近くまた人形町界隈を散策しようかな?
魅力ある下町ですからね。
同じことしてますね(^m^)b (hi-lite)
2011-06-01 19:50:31
おやぢタイプさんは、ちゃんと調べてから行ったンですね。
私は原作本片手に行き当たりばったり(^。^:)
写真も携帯のカメラだし…
ま、負けた(><)
洋食屋さんや喫茶店も調べたンですか?
すごい!
あっ、でもこの喫茶店、玉ひでのそばじゃない?
入ったかも。
雑貨屋さん人形焼のお店を行ったンですけど、どうもお店にカメラを向けるのが恥ずかしくて、あまり写真が撮れませんでした。
私が歩いたときは、雨も降っちゃったし…
でも、こうして散策するのも面白いですよね。
映画「麒麟の翼」も楽しみ(^-^)v
はい、今回は結構下調べしました。 (おやぢタイプ)
2011-06-01 23:01:57
hi-liteさん、コメントありがとうございます。
今回、GWで時間もあったので、結構下調べして、日本橋散策しました。
ご指摘の通り、小説に出てきた喫茶去「快生軒」は玉ひでの隣です。
休日・祝日はお休みなので、週末散策では入れません!
hi-liteさんは実はこの店で休憩されてたんですね!?
とても楽しく拝見しました。 (エリコ)
2011-06-04 23:49:39
つい先ほど、「麒麟の翼」を読み終えたところです。
私は愛媛県在住なので、本当に日本橋に麒麟の像があるのかなって疑問に思って
「日本橋 麒麟の像」で検索したら、
こちらのブログに辿り着きました。
しかも結構こと細かに探索されている様子で、こちらまで観光した気分になれました♪
この写真を想像しながら、もう一度麒麟の翼を読み返そうと思います。

人形焼きのお店にかんしては、新参者で出てきたような記憶がありますが・・・
ちょっと曖昧になってきてるので、また新参者関係の地のブログを楽しみにしていますね♪
それはよかったです。 (おやぢタイプ)
2011-06-05 10:55:40
エリコさん

コメントありがとうございます。
なるほど、遠くに住んでいる方が日本橋を観光した気分になれたなんて、うれしいです。
ほとんどが実在の場所なので、写真を見ていただくとよりリアルに『麒麟の翼』が感じられるかも知れませんね。
さて、人形焼のお店ですが、記事でお土産を買った店として紹介した「重盛永信堂」が、ドラマ『新参者』の人形焼のお店のようです。
確か小説では特に場所を特定出来るような説明は無かったような気がします。
あん無しの人形焼というのがポイントになるのかな?
おじゃまします (mayurin)
2011-06-20 22:23:48
初めまして。実は近々、七福神めぐりを予定しています。(予定では6月26日)

おやぢタイプさんはこの順番で歩いたのですよね。HPとか観ると、七福神巡りは約2時間かかるって書いてたのですが。
なにせ遠方から出向くもので時間的に2時間はきついかなぁと思ってます。
もし、絶対ここは行ったほうがいいというお勧めがあったら教えていただけますか。
日本橋の麒麟像を観て七福神巡りをちょっとして1時間半くらいで…アドバイスいただけたら嬉しいです。
七福神巡り (おやぢタイプ)
2011-06-21 07:51:53
mayurinさん

コメントありがとうございます。
1時間半くらいで、七福神巡りですか。
そうですね。水天宮と甘酒横丁は押さえたほうがいいですね。
個人的には七福神の中の小網神社がいいなと思いました。かわいい繭玉のおみくじがぶら下がっていて、他にない感じがしました。
水天宮以外は小さい神社なので、そう大きな違いはありません。
日本橋から小網神社を経由して、茶の木神社、水天宮、松島、末廣、笠間稲荷を巡ってから甘酒横丁で残りの時間をすごすというのはいかがでしょうか?
日本橋散策、楽しんでくださいね。
Unknown (mayurin)
2011-06-21 11:37:08
おやぢタイプさん、色々とありがとうございます。

因みに、最寄駅は三越前駅ではなく日本橋駅のほうがやはりいいですか。
昼食時にお勧めのお店とかありますか?
日本橋に行くなら (おやぢタイプ)
2011-06-21 23:44:25
三越前駅でも日本橋駅でもそう距離的にはあまり変らないと思いますよ。
ご自分が移動上便利な路線が停まる方を選んでみたら、いかがでしょうか?

この近辺のランチスポットは残念ながらよく知りません。ただ人形町で食べるならブログでも紹介した芳味亭はおいしかったですよ。
あと、人形町といえば、親子丼で有名な玉ひでもありますね。次回はここでランチをするつもりです。
両方とも地図にマークしてありますのでご参考にしてください。

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